見事な自然を残している公園も、
いつもなら紅葉の始まっている木々もあるのだが、
見当たらない。
台風と激しい雨で荒れ果てていた。
地球の気温が上昇していることを現している現象が、
あちこちに見られる。
近くの路地にも、
熱帯植物だと思われる紫色の草が繁茂していた。
影が長くなってきた。
薔薇園の花達も少しづつ葉を落とし始めている。
低くなった太陽は、
木々に隠れた庭園の奥まで差し込んで、
ひっそりと閉じたドアにまで忍び込んでいる。
一気に気温が下がってきている。
陽射しは衰えていず、硬く靭い。
ドラキュラが眼を醒ます、鉛色の空に覆われるのには
まだ時間がありそうだ。
太陽が水平線近くに落ちてくると、
オレンジとパープルの混じり合った光が一面に漂い始め、
シグナルは赤く点灯したままで警告を発し続け、
閉じられていた扉が静かに開く音があちこちでし、
迷宮への入り口がぽっかりと黒い口を開ける。