カメラを持って出掛けようとすると感染者増加、
また出掛けようとすると感染者増加の連続で、
出かけるのを躊躇してしまう。
ここ数ヶ月は引きこもり状態。
被写体に出会うことができないのならと、
久しぶりにオブジェを作り撮影した。
一人で部屋にこもっての作業に、外に出て被写体と出会うワクワク感はない。
だが、まだしばらくは、
こんな形でシャッターを押すことになりそうだ。
丁寧に保存された日本家屋には、
まだ硝子板の製造方法が近代化されていず、
平滑な表面が作れなかった時代のガラスが、
建築当時のまま使われている。
そのガラス越しの風景は、
有るか無きかの凹凸で歪み、
所々に錐でついたような傷があったりする。
イギリスのパブの硝子もそんな風だった。
街の喧騒から数分のところに、
静謐な空間がある。
隅々まで手入れが行き届いているが、
人の住んでいない空間は、
何処か艶が無い。
開ききった薔薇は、
放埓な匂いを放っているが、
硬く閉じた蕾は、
研ぎたてののナイフのように、
何処か血をを求めているような、
危うさがある。