長い時間をかけて形成されてきた森は、それ自体が巨大な生命体だ。森の中に足を踏み入れて進んで行くうちに、体を取り巻いていた空気は、湿った土や樹々、草花から発散される粒子と一体となって、その生命体にコントロールされたものへと変わり、次第に体を侵食し始め、嗅覚や視覚などの様々な感覚器官にまで変化が及び始める。
秋元茂 All rights reserved.