家は、住人が去っても、そこに住んだ人の気配は残っている。長い年月を経てきた家であればあるほど、多くの人の残像が残っていることになる。しんと静まり返った人気のない部屋が、窓から差し込む光の角度や、肌に触れる風の動きが、残像を生き生きと蘇らせるのか、家中がざわざわとし始める瞬間がある。
秋元茂 All rights reserved.