赤く錆びた煙突の場所が頭の隅に残っているのか、又しても煙突のようなものにシャッターをおしてしまった。自作のオブジェを撮るという、作り上げた写真を撮り続けているので、ふらりふらりと歩いて写真を撮るという行為は新鮮だ。
1ヶ月前にここを通った時は、ガラスの向こうに奇妙な旗や標識に、何に使うかわからない、不思議な形のガラス器具などが透けて見えていて、その奥ではコモン君が鉢植えのデンドロカカリヤになりかけている、安部公房の描く世界が目の前に現れたような場所だった。カメラを持って再び訪ねた時は、ガラスの向こうには何もなく、錆びた煙突があるだけの、何処にでもあるような風景があるだけだった。
秋元茂 All rights reserved.